CHIRORO Expedition
(チロロ探検隊)
■■ ACT.4 フウインシ・チャッタゾウの壺 ■■
ペギランたちの興奮は治まらない・・・
チムは、もんもんを抱きかかえ逃げるのに精一杯。
だって、ペギランたちは大きくてぽよぽよしてるから、チムの武器のトゲトゲムチが効かないの。
空から、不死鳥に乗ったモクモクも心配そうに見守るだけだった。
ペギランたちは、お互いにぶつかり合いながら・・・ 興奮しすぎて、我を忘れてしまっている。
このままだと、踏み潰されるのも時間の問題だ。
チムは、ハナテカ からもらった壺の事を思い出した。
確か・・・ 恐ろしいまものが封印されていたんだっけ。
チムは、いちかばちか・・・ 壺の栓をとって、壺のあちこちをこすった。
「 お願い・・・ 何か出てきて〜〜 」
すると、フウインシ・チャッタゾウの壺は黒く色を変え
パオオオオ〜〜〜っ!!
っていう泣き声とともに、黒い煙を噴出した。
ペギランのほこら は、一瞬にして黒い煙に包まれた。
「 がはははははっっ!!!」
笑い声とともに・・・ 黒い色をした翼のある まものが現れた。
「 おおおっ! やっぱ、シャバの空気はうびゃっっ!!」
せっかく現れたまものだったけど・・・
倒れてきたペギランを顔面でうけてしまい、舌をかんだ。
ペギランたちは、あたりが急に暗くなったので 暴走しだしていた。
「 おのれ〜 よくも、この闇の悪魔様に向かって・・・ 」
「 これでも、くらえっ!!」
闇の悪魔は、翼にある爪から雷みたいな電気を放射した。
びかびかびかびかーーーーーっ!
ペギランのほこらは、雷の閃光に包まれた。
ペギランたちの、動きが止まった。
そして、次々と・・・ ほこらの奥にある洞穴へと姿を消していった。
いつのまにか ほこらには、チムともんもんと・・・ 闇の悪魔だけになってしまった。
闇の悪魔は、残っていたチムたちを見つけた。
「 ほほう〜 どうして おまえには、闇の電撃がつうじなかったんだぁ!」
チムは、もんもんを抱きかかえながら座り込んでいた。
闇の悪魔は、チムが持っていた壺を見つけ 何かを思い出した。
「 そういえばっ! あのいまいましい ロレンは どこ行きやがったぁ〜〜っ!!!」
「 オレ様の胸に、こんなへんてこな絵を描きやがってぇ〜〜!
それも、よわっちいネズミだぜぇ! バカにしやがってっっ! 絶対に許せんっっ!!」
「 こんど、あいつを見つけたら・・・ ぶん殴ってやろうと心に決めてんだっ!」
そう言うと、大きな手で チムをつかみあげた。
「 とりあえず、お前から食ってやろうっ!! んっ?」
闇の悪魔は、チムの体のにおいをかいだ・・・
「 ああんっ? この臭いは・・・ 」
チムは、闇の悪魔を再び壺に封印しようと フウインシ・チャッタゾウの壺をあちこち こすりだした。
すると、今度は、壺が白く輝きだし・・・ そして、白い煙が噴出した。
ぷしゅううううううううっ!!
白い煙の中から、女の魔人が姿を見せた。
「 おいっ! クロスケっ! お前・・・ さっきから
大声出しやがって、うるせいぞっ!!」
「 ぶっとばされたいのかぁああっ??」
その女の魔人は、闇の悪魔にそう言った。
「 ひえぇえ!! すいませんっ!! ・・・ ルル様!! 」
あらら?? 闇の悪魔が謝ってるよ・・・
ルルという名前の女の魔人は、チムを見つけると、
「 あらやだっ♪ 今度のご主人さまは、かわいこちゃんだぁ♪♪」
「 あたし、ルルっていうの。 力の魔人よぉ〜♪」
「 このバカが、うるさかったでしょぉ?? ごめんねぇ♪」
壺から現れた、力の魔人のルルは、チムの事が気に入ったみたいだった。
力の魔人の ルルは、闇の悪魔の頭をはたきながら命令した。
「 おらっ! さっさと壺に戻りやがれっ!!」
闇の悪魔は、壺の中に消える途中、チムに向かって言った。
「 すまなかったなっ! お嬢ちゃん・・たまには、オレ様も外に出してくれよなっ!!」
「 そうそう・・・ もし、チロロ・ロレンとかいう女神に会ったら・・・ 」
「 とっとと、入りやがれっ!!」
闇の悪魔は、モグラたたきのように ルルに、頭をたたかれながら 壺に消えていった。
「 チムちゃんってば・・・ 初めて会ったのに・・・ なぜか懐かしい感じがする〜〜♪」
「 困ったら、また呼んでねっ♪♪ じゃあねぇ〜〜 chu♪」
ルルは、チムに投げキッスをしながら・・・ 吸い込まれるように 壺の中に姿を消した。
チムは、フウインシ・チャッタゾウの壺に栓をした。
壺のふたりの勢いに見とれていて・・・ チムは、しばらく呆然としていた。
「 はっ! そうだ、もんもんが倒れちゃってたんだっ!」
急に、我に帰ったチムは、モクモクを呼んだっ!
「 モクモク〜〜〜〜っ!!」
その時だった。
チムは、何かにお尻を舐められた感じがして飛び上がったっ!
「 きゃっっ!!」
振り返ると、変な生きものがいた。
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
「 ちょっとっ! あなた誰っ?」
チムは、何も言わずに じ〜〜っとチムを見てるこの生きものに話しかけた。
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
この生きものは、何かを待っているんだろうか??
このアリクイみたいな生きものは、もう一度 チムのお尻を長い舌でペロって舐めた。
「 きゃあっ! ばかっ!!」
チムは、このアリクイのヘルメットの上からたたいた。
すると・・・アリクイみたいな生きものは、すっごく嬉しそうな顔をして
大きなしっぽを左右に振ってどこかへ行ってしまった。
「 なんだったんだろっ??」
チムは、不思議に思った・・・ 今度会ったら、直接聞いてみようって思った。
モクモクが、空から不死鳥に乗って降りてきた。
「 今の生きものは、チロアリクイっていうあるよぉぉ♪ 珍しい生きものあるね!」
そして、ハナテカのお父さんの病気を治した
あの「プクプクイモムシの秘薬」を、もんもんに飲ませた。
「 あと、10分ぐらいで・・・ もんもん 元気になるあるねぇ〜〜♪」
チムたちは、もんもんが目覚めるまで、しばらく ここで休憩する事にした。
チムは、ペギランのほこらにある洞穴の片隅に、日光がかすかに差し込む場所を見つけた。
そこは、苔(こけ)がいっぱい生えていて とても幻想的な場所。
近寄ってみると・・・ 苔が、モゾモゾって動き出した。
「 あれっ??」
「 きゃあっ♪ 小っちゃい オタマジャクシがいっぱいいる〜♪」
苔に混じって、たくさんのオタマジャクシがいた。
モクモクは、その生きものを知っていて 教えてくれた。
「 ここでは、苔おたまっていうある〜〜♪」
どうやら、この子たち・・・ 水たまりがなくても、生きていけるみたい・・・
チムは、あまりにもかわいいので 一匹・・・ 連れていく事にした。
「 何かの役にたつかもねっ・・・」
チムは、嬉しそうに 苔おたまを手の平に乗せて そうつぶやいた。