「いにしえのコゲあと」を抜け出し、再び 「DECHI の森」へ・・・
先程までと違う様に感じるのは日が沈みかけているせいだろうか?
辺りを歩いてみよう! まだまだ、へんてこな生き物がいそうだ。
【 第6章・・夕暮れの森 】
不思議な洞窟を抜けだして外に出ると、辺りはもう夕方になっていた。
そして、「 DECHI の森 」の南の外れに来ていた。
腕を左右いっぱいに伸ばし深呼吸していると、目の前に動く石を発見した。
「なにか、いるのかな?」
石をよく見てみると、カメみたいな生き物だった。
ふと気付くと、まわりにいっぱい動く石や岩があった。
どうやら、まだ子供のようだ・・・とはいっても50cmはある。
No.26 Iwagame
ふと気付くと、まわりにいっぱい動く石や岩があった。
「あっ!あの岩・・・見覚えがある!」
そう、朝方、一眠りしていた大きな岩に間違いなさそうだ。
そうそう! 目を覚ましたら、辺りの景色が変わっていて川に近くに来てたんだった。
( DECHI の森、第1章・第2章参照)
なるほど、大きな岩と思っていたのは、あのカメの背中だったんだ・・・
そして、おそらく、あのカメが水を飲みに川まで来たんだろう・・・
「森の風景が変わるという言い伝え」の正体は、この事だったのだろうか?
少し拍子抜けした感じもするが、不思議な森である事には変らない!
「ほらっ、ここにも、大きな木の根元の地面から はいでてきた奴がいる」
急に地面から出てきたこの生き物は、体を伸ばしている様にも見えた。
No.27 Nekera
多分、この根っこみたいな生き物は、日が沈む頃に出てくるみたいだ。
いつも、地面の中に住んでいるから、太陽には弱いのだろう・・・
「 キラッ・・・! 」
少し離れたところで、一瞬何かが光った感じがした。
どうやら、何かが飛び跳ねてるみたいだ・・・
近寄ってみると、まぎれもなく ドングリのようだが違っていた。
No.28 Korobokkuri
頭にある葉っぱを振りながら一生懸命ジャンプしている。
「なんだか、かわいいなあ・・・」
じっと見ていると、口をパクパクさせて、なにかしゃべってるようだ。
「 プププププッ!」
森の奥の方からけたたましい笑い声が聞こえた。
声のした方にいってみると、
どうやら木の枝に咲いている花から聞こえてるようだ。
すると、花たちは急にざわざわ動き出した。
「 えっ・・・ 鳥かな?」
No.29 Hanatugumi
花だとばかり思っていたのは、実は鳥だった。
みんなで、交互に頭の花の蜜を吸っている。
ハチドリの仲間だろうか・・・?
なるほど、葉っぱと思っていたのは、どうやら羽のようだ!
体が白いものが多いが、たまに赤い体や青い体の奴もいる・・・
「 プププププーッ!!」
しかし、この泣き声・・・ 笑っているように聞こえるので
一緒にいると、なんだかつられて笑ってしまいそうになる。
なんとも、おもしろくて親しみやすい生き物だ。
足元で、何かが動いたので見てみると、さっきのドングリの生き物がいた。
どうやら、森に駆け込んだあとをついて来たらしい・・・
手に乗せてみると、にっこりした顔になった。どうやら気に入られたらしい。
しばらく、「 Korobokkuri 」と名付けたドングリの生き物と遊んでいたら
いつのまにか、夕方になっていた。
夕日に照らされて、「DECHI の森」の色がまた変った。
「 あれはっ・・・?? 」
No.30 Hoozukimusasabi
目の前の空を、なにかが通り抜けた・・・
最初、ホオズキかなっと思ったけど、どう見ても飛んでいるようだ。
ムササビ と同じ仲間だろうか・・・
手を広げた時に、丸いお腹の色が赤く光るようだ・・・
もうすぐ・・・ 「 DECHI の森」は、夜になる。
夜の森は、昼間と違ったへんてこ動物が現れるのだろうか・・・
とにかく不思議な森である為、なにが起こるかわからない。
いまのうちに、万全な準備をしておこう・・・